Liner Notes by Masaki Uchida
“⽣の躍動と壮⼤なドラマ映像の化学反応が織りなすエマージェンシーな緊張感”
昨年9⽉に観たNobuaki Kaneko Showcase 2025 ”KERAUNOS”は鮮烈にして獰猛(どうも
う)だった。連打⼊魂のドラミングとステージ後⽅のLEDスクリーンに映し出される⾼彩
度なCGビジュアルに⽿と⽬が刺激され、想像⼒が、五感が、繰り返し喚起させられる。
⽬の前の⾦⼦ノブアキの⽣(せい)の躍動と⻤才・清⽔康彦監督のディレクションによる
壮⼤なドラマ映像の化学反応が織りなすエマージェンシーな緊張感は、観る者のアドレナ
リンを沸騰させ、想像⼒を喚起させる。
そして、それはやがてドーパミン分泌の如き多幸感に包まれ、気付けば、⾝体と⼼が揺さ
ぶられる。そんな“ヤバい”ショーケースだった。
“憎悪の争いは不要。尊重と上昇で分断の連鎖を断ち切る”
この夏、⼤阪(8⽉17⽇(⽇))、東京(8⽉21⽇(⽊))で開催されるNobuaki Kaneko
Showcase 2025“Leave the negatives”は前述のショーケースのアップデート版になるという。
公演タイトルの“Leave the negatives”はショーケースに先駆け配信リリースされた新曲
「Respect & Rise」に呼応している。実際の⼈間の声と聞き紛うボーカロイド(!!)が歌うリ
リックは、「憎悪の争いは不要」、「尊重と上昇(Respect & Rise)で分断の連鎖を断ち
切ろう」という⾦⼦ノブアキからのメッセージだ。
“ドラマーの独演という類を⾒ないショーケース”
2009年からスタートした⾦⼦ノブアキのソロは、途中、全ての⾳源制作からレコーディン
グまでを彼⾃⾝が単独で担えるようになったタイミングを機に急速な進化を遂げてきた。
ドラマーの独演という類を⾒ないショーケース形態を⽣み出し、まさに過渡期真っ只中の
⽣成AIをいち早く⼤胆に導⼊し、清⽔監督とのタッグで果敢な映像表現を探求し続けてい
る。楽曲からショーケースまで全ての表現に通底しているのは“時代の⽬撃者”たる⾦⼦の
知性と観察眼だ。それは“前衛的な思想”と⾔い換えてもいいのかもしれない。
もし、あなたがまだ⾦⼦ノブアキのライブを観たことのない読者なら、まずは、新曲
「Respect & Rise」のミュージックビデオを観てほしい。東京・ニコンクリエイツのバー
チャルプロダクションスタジオにて撮影された映像は、今夏のショーケースの予告編とし
ても⼗分な機能を果たすはずだ。
単独の表現者としても、リアルタイムな時代の空気とその変遷をドキュメントするアート
フォームとしても、いまの⾦⼦ノブアキの存在感は要チェックだ。
鮮烈にして獰猛な⾁体と知性が最新テックを背負って暴れまくる”Leave the negatives”、
ぜひ⽣で体感してほしい。(内⽥正樹)
